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社会保険労務士とは?仕事内容や、試験の概要、取得のメリット、キャリアは?

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この記事では、社会保険労務士についてまとめています。

社会保険労務士とは

社会保険労務士とは、労働・社会保険に関する法律に関するスペシャリストで、この分野に関する唯一の国家資格者のことです。

社会保険労務士は、企業が行政機関に提出しなければならない労務関係の書類作成やその手続きを代行したり、事業の発達や労働者の福利厚生の向上のために様々なコンサルティングを行います。

社会保険労務士試験に合格し、2年以上の実務経験と指定の講習を修了したのち、社会保険労務士名簿に登録することで正式に社会保険労務士になることができます。

社会保険労務士の仕事内容

以下に社会保険労務士の代表的な仕事内容を紹介します。

労働社会保険手続業務

制度の煩雑化に伴い労働社会保険に加入するための書類作成や手続きに費やす時間が増えており、経営者や人事担当者の大きな負担となっています。このためこれらの業務を社会保険労務士が代行し、企業の経営効率化につなげます。

労務管理の相談指導業務

良好な労使関係を維持するための就業規則の作成・見直しから賃金制度の構築に関するアドバイス、人材の採用・育成に関するコンサルティングまで、労働者が働きやすい環境づくりをモットーに様々な業務を行います。

年金相談業務

複雑化する年金制度をわかりやすく説明し、各種の事務手続きを手伝います。日本年金機構からの委託を受け、街角の年金相談センターで無料で相談を受けています。

補佐人の業務

労働保険や社会保険制度の適用や給付をめぐってトラブルが起きた際に、補佐人として裁判所に出頭して陳述することができます。

紛争解決手続代理業務

特別研修を受講し、別途試験に合格した「特定社会保険労務士」の資格を持っている場合に行うことができる業務です。企業と労働者の間でトラブルが発生したとき、多くの費用と時間がかかる裁判にもちこまずに当事者同士の話し合いに基づいて紛争解決を図ります。

社会保険労務士の試験概要

社会保険労務士になるには、社会保険労務士試験に合格する必要があります。ここでは、社会保険労務士試験の概要を説明します。

試験日・合格発表日

試験は年1回、毎年8月の第4週に実施されます。平成30年度は8月26日(日)に実施され、11月9日(金)に合格者が発表されました。

試験科目

大きく「労働保険」と「社会保険」の2つの分野に分けられます。

「労働保険」分野

  • 労働基準法及び労働安全衛生法
  • 労働災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
  • 雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
  • 労務管理その他の労働に関する一般常識

「社会保険」分野

  • 社会保険に関する一般常識
  • 健康保険法
  • 厚生年金保険法
  • 国民年金法

配点

選択式試験は1問5点の配点で40点満点、択一式試験は1問1点の配点で70点満点の計110点満点の試験です。上にあげた全8科目から幅広く出題されます。選択式試験の試験時間は80分、択一式試験の試験時間は210分です。

合格基準

合格基準点は、選択式試験および択一式試験のそれぞれの総得点と、各科目ごとに定められています。各成績のいずれかが合格基準点に達しない場合は不合格となります。

受験手数料

9,000円

受験申込期間

厚生労働大臣の官報公示「社会保険労務士試験の実施について」(毎年4月中旬)が行われてから5月31日までの間

受験資格

受験資格は主に学歴によるもの・実務経験によるもの・厚生労働大臣の認めた国家試験合格によるもの、の3つに大きく分けられます。

以下の条件のいずれか一つに該当すれば社会保険労務士試験を受験することができます。また、受験資格によっては試験科目が一部免除になる場合もあるので、事前に確認するとよいでしょう。

学歴によるもの

  • 4年制大学、短期大学もしくは高等専門学校を卒業した者
  • 上記の大学(短期大学を除く)において学士の学位を得るのに必要な一般教養科目の学習を終えた者、もしくは上記の大学(短期大学を除く)において62単位以上を取得した者
  • 厚生労働大臣が認めた学校等を卒業、または所定の課程を修了した者 【参考】「厚生労働大臣が認めた学校等
  • 修業年限が2年以上で、かつ、課程の修了に必要な総授業時間数が1700時間(62単位)以上の専修学校の専門課程を修了した者

実務経験によるもの

  • 労働社会保険諸法令の規定に基づいて設立された法人で、同法令の実施事務に3年以上従事した者
  • 公務員、または特定独立行政法人等の役員や職員として行政事務に3年以上従事した者
  • 社会保険労務士または弁護士等の業務補助の事務に3年以上従事した者
  • 労働組合の役員として労働組合の業務に3年以上従事した者、または会社の役員として労務を担当した期間が3年以上の者

厚生労働大臣の認めた国家試験合格によるもの

  • 司法試験予備試験に合格した者
  • 行政書士となる資格を有する者
  • 厚生労働大臣が認めた国家試験に合格した者 【参考】「厚生労働大臣が認めた国家試験

社会保険労務士の難易度は?合格率はどのくらい?

厚生労働省の「第50回社会保険労務士試験の合格者発表」によると、2018年の社会保険労務士試験は、受験者数約38,000人中、合格者は約2,400人であり、合格率は6.3%でした。

社会保険労務士の受験者数の推移

過去10年の受験者数の推移をみると、受験者数は年々減少しています。

社会保険労務士の合格者数・合格率の推移

過去10年間の合格者数の推移は年度によってかなりばらつきがあります。そのため合格率も9.3%(2014年)から2.6%(2015年)まで大きく推移していますが、ここ2年は6%台で落ち着いています。

合格率だけをみるとかなり難しい試験に思えますが、合格するために3年も5年も勉強が必須というほどの試験ではありません。

社会保険労務試験の試験科目は労働と保険に特化した法律が中心であり、学習範囲も限られているためです。

また、これらの法律は職場や私生活に関わりが深く身近に感じるものが多いため、法律を専門的に学んだことのない人でも合格することができます。

社会保険労務士になるにはどのくらいの勉強時間が必要?

独学で合格を目指す場合の学習時間の目安は800~1,000時間と言われています。

半年から2年の勉強時間で合格する人が多いようです。試験の1年ほど前から勉強をスタートさせると余裕をもった学習計画を立てることができます。

参考までに独学での学習時間の目安として、司法書士は約3000時間以上、税理士は約2000時間、宅建資格は300~400時間と言われています。

社会保険労務士試験は独学が可能?

社会保険労務士試験に対応した参考書も多数発売されているため、独学での合格も可能です。

また、合格者の職業別割合」をみると会社員が半分以上を占めているため、働きながら勉強して資格を取得している人も多数います。

ただ、独学の場合、学習スケジュールや学習法をすべて自分で決定し、計画的に学習を進めなければいけません。

また、働きながらの受験を考えている場合は仕事と勉強の両立という難しさもあります。そのような場合には、試験対策が充実しており効率のよい学習法を提供しているスクール等の利用を検討してもよいでしょう。

社会保険労務士を取得するメリットは?

労働問題や年金問題などは年々複雑化しています。

その中で人事・労務、社会保険に関する専門家である社会保険労務士のニーズは欠くことができないものとなっており、今後ますます高まることが予想されています。

そのため資格を持っている場合には就職や転職の際にも有利になります。企業の中には資格手当を支給しているところもあります。また、社会保険労務士にはこの資格を有していなければ行うことができない独占業務があります。たとえば、企業から委託を受け社会保険に関する手続きを代行することなどはその一つです。このような独占業務を持っていることは特に独立開業では大きな強みとなります。

さらに、社会保険労務士になるために必要な知識は、ふだんの生活に直結するものが多く、日常生活にも多く活かすことができることもメリットの一つです。

社会保険労務士のキャリアは?

社会保険労務士の具体的なキャリアパスは、企業内での人事の専門家になるパターン(企業内社会労務士)、もしくは社労士事務所などで経験を積み専門性を高めたのち独立開業するパターン(開業社会保険労務士)があります。

独立・開業(開業社会保険労務士)のキャリアパスイメージ

社労士事務所・社労士法人での実務経験(5~10年)

労働保険・社会保険手続などの代行業務を中心に基本業務を行います。

その後年数や経験を経てクライアントに対するコンサルティング業務にも携わり、企業の経営サポートを行っていきます。

コンサルティング業務をメインにした総合会計事務所や労務コンサルティング会社に所属(5~10年)

労働保険・社会保険手続などの代行業務よりもコンサルティング業務を行う割合を増やし、社会保険労務士としての専門性を高めます。

独立開業

会社員(人事・労務領域)のキャリアパス

また、社労士事務所・社労士法人での実務経験ののち、クライアント先の企業の人事総務部門に所属して業務を行い、ゆくゆくは採用・人事部長として企業内でのキャリアアップを目指すパターンもあります。

企業の中での人事労務担当(3~5年)

給与計算、社会保険手続業務を中心に勤怠管理、異動管理などの業務を行います。

人事労務主任、課長(5~10年)

人事労務のプロフェッショナルとして提携業務のとりまとめ役を担います。また、スタッフの育成・指導も含めた部門マネジメントも行います。

法令知識をもとに人事制度の構築や運用などにも関わります。

人事部長

これまでの労務関連に加え、人事業務全般のマネジメントを行い、経営に深く関与する役割を担います。

社会保険労務士資格を取得するのにおすすめの勉強法は?

法改正の部分は重点的に

労働・社会保険に関する法律は頻繁に改正されます。このように制度が変更された部分は重点的に勉強しておきましょう。また、過去問などを解くときにも前年度と法律の内容が異なる場合があるため注意が必要です。

共通点の多い科目を関連付けて勉強する

国民年金法と厚生年金保険法など共通している部分が多い科目があります。これらを関連して勉強することで、より効率的に内容が頭に入りますし、両者の相違点も明確に理解することができます。

細かい数字の暗記は早めに

最近の社会保険労務士試験では、細かい数字を問う出題が4割を超えるといわれており、特に選択式でその傾向が強いです。このように最低限暗記しなければならない数字は繰り返し覚えなおす必要があるため、後回しにせず早めに対策するのがよいでしょう。

予備校の模試を活用する

大手予備校では模擬試験を準備しているところもあるため、それを活用して本番前に力試しをするのもよいでしょう。自分の苦手分野を確認することができるため、直前で見直すべきポイントを明確にすることができます。

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