コラム

国家公務員総合職とは?試験の仕組み、難易度、倍率、初任給は?

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この記事では、国家公務員総合職の試験についてまとめています。

国家公務員総合職とは

国家公務員総合職とは、中央省庁で政策の企画・立案を行う、いわゆるキャリア官僚と呼ばれる国家公務員のことを言います。

国家公務員の職種は、「総合職」「一般職」「専門職」に大きく3つの職種にわかれます。

人事院の国家公務員の紹介ページでは、以下のように区分されています。

  • 総合職:政策の企画及び立案又は調査及び研究に関する事務をその職務とする係員
  • 一般職:定型的な事務をその職務とする係員
  • 専門職:特定の行政分野に係る専門的な知識を必要とする事務をその職務とする職員

(参照)人事院国家公務員紹介ページ http://www.jinji.go.jp/saiyo/syokai/syokai.html

総合職は、中央省庁の官僚職員となり、様々な仕事を経験し行政のプロフェッショナルになっていきます。

国家公務員になるためには、総合職に限らず、職種に応じた採用試験に合格する必要があります。

以下では、総合職の試験内容に関して説明していきます。

公務員の種類を解説!国家公務員と地方公務員、職種、試験内容などの違いを解説

国家公務員総合職の試験

試験区分

総合職試験は、大きく院卒者試験と大卒程度試験の二つに分かれます。

また、試験区分が以下のように複数用意されており、試験科目も区分によって異なります。

  • (院卒者試験)行政、人間科学、工学、数理科学・物理・地球科学、化学・生物・薬学、農業科学・水産、農業農村工学、森林・自然環境
  • (大卒程度試験)政治・国際、法律、経済、人間科学、工学、数理科学・物理・地球科学、化学・生物・薬学、農業科学・水産、農業農村工学、森林・自然環境

また、院卒者試験では法務区分、大卒程度試験では教養区分という区分で、9月から11月ごろにかけて採用を行う試験区分も用意されています。

次に、それぞれの試験区分ごとの試験科目について説明します。

試験科目

公務員試験の試験科目や配点比率などは、人事院のホームページに詳しく掲載されています。

ここでは、総合職の大まかな試験内容について触れていきます。

総合職試験には、院卒者試験か大卒程度試験かに関わらず、第1次試験と第2次試験の二つがあります。また、この二つの試験の点数に、TOEFL(iBT)やTOEICの試験を活用しスコアに応じて加算することができます。

第1次試験では、基礎能力試験(多岐選択式)と専門試験(多岐選択式)が行われます。第2次試験では、専門試験(記述式)と政策論文試験、人物試験の3つの試験が行われます。

どの試験区分でも、第1次試験の共通能力試験と第2次試験の人物試験の二つは内容が共通しています。

基礎能力試験では、文章理解や判断・数的推理、自然・人文・社会科学の問題が出題されます。また、人物試験では、人柄や対人的能力などについて見られる個別面接が行われます。専門試験(多岐選択式、記述式)では、試験区分によって出題分野と出題数が異なります。

ここでは、例として、大卒程度試験の法律区分の試験科目や問題数について説明します。

第1次試験の専門試験(多岐選択式)では、49問出題されそのうち40題に解答しなければなりません。

また、憲法7題、行政法12題、民法12題の計31題は必須問題です。そして、商法3題、刑法3題、労働法3題、国際法3題、経済学・財政学6題の18題から任意の計9題に解答する必要があります。

第2次試験の専門試験(記述式)では、憲法、行政法、民法、国際法、公共政策の5科目から3科目を選択して解答します。

試験科目は、試験区分に応じてまったく異なります。自分が大学で学んだ内容を活かせそうな試験区分を選択することをおすすめします。

(参照)http://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/jyukennannnai/jyukennannnai_sougousyoku.pdf

試験日程

2019年度の試験日程が人事院のホームページにてすでに公開されています。

詳細は以下の通りです。

院卒者試験(法務区分以外)

  • 受付期間:3.29(金)~4.8(月)
  • 第1次試験日:4.28(日) 第1次試験合格者発表日:5.10(金)
  • 第2次試験日 専門試験(記述式):5.26(日) 政策課題討議試験・人物試験:6.6(木)~6.14(金) 第2次試験合格者発表日:6.25(火)

院卒者試験(法務区分)

  • 受付期間:9.10(火)~9.17(火)
  • 第1次試験日:9.29(日) 第1次試験合格者発表日:10.8(火)
  • 第2次試験日 政策課題討議試験・人物試験:10.10(木)~10.11(金) 第2次試験合格者発表日:10.18(金)

大卒程度試験(教養区分以外)

  • 受付期間:3.29(金)~4.8(金)
  • 第1次試験日:4.28(日) 第1次試験合格者発表日:5.10(金)
  • 第2次試験日 専門試験(記述式)・政策論文試験:5.26(日) 人物試験:5.28(火)~6.14(金) 第2次試験合格者発表日:6.25(火)

大卒程度試験(教養区分)

  • 受付期間:8.2(金)~8.26(月)
  • 第1次試験日:9.29(日) 第1次試験合格者発表日:10.16(水)
  • 第2次試験日 企画提案試験・政策課題討議試験・人物試験:11.12(火)~11.20(水) 第2次試験合格者発表日:12.6(金)

(参照)http://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/dai_gaiyou.pdf

国家公務員総合職、教養区分試験対策!試験日程や内容など

採用スケジュール

ここでは、試験に合格してから内定が出るまでの流れを説明します。

国家公務員試験において重要なことは、最終合格と採用がイコールではないことです。

採用されるためには、試験合格後、各府省での面接を受ける必要があります。

この面接は官庁訪問と呼ばれ、自分が志望する府省等に関する知識を深めるとともに自己PRをする重要な機会です。

訪問日程は、毎年各府省人事担当課長会議申し合わせで決定します。

2019年度の訪問スケジュールは、人事院のホームページにてすでに公開されています。

  • 訪問開始:6.26(水)
  • 第1クール:6.26(水)~6.28(金)
  • 第2クール:7.1(月)~7.3(水)
  • 第3クール:7.4(木)~7.5(金)
  • 第4クール:7.8(月)
  • 第5クール:7.9(火)
  • 内々定解禁:7.9(火)正午

(参照)http://www.jinji.go.jp/saiyo/saiyo/sougou/2019gaiyo_sogo.pdf

上記のように、合格発表後、過密なスケジュールで官庁訪問を行うことになります。

最終合格発表前に、あらかじめどの省庁に訪問に行くのか決めておくといいでしょう。

国家公務員総合職試験の難易度は?

国家公務員総合職の試験は、司法試験などと並び、国内では有数の難易度の試験と言われています。

国家公務員総合職試験の倍率は?

総合職試験の倍率は、人事院によって公開されています。かっこ内の数字は女性の人数を表します。試験の難易度は受験者の本気度なども考慮する必要があるため、倍率だけでは判断出来ませんが、参考までに以下にまとめています。

どの区分においても、1次試験で大きく絞り込まれ、最終試験で半数程度が合格するようです。

大卒程度試験

試験の区分 申込者数 第1次試験合格者数 最終合格者数 1次試験倍率(申込者/1次試験合格) 最終合格倍率(申込者/最終合格)
政治・国際 1,365(529) 122(31) 63(19) 11.2 21.7
法律 10,065(4,113) 1,002(342) 471(156) 10.0 21.4
経済 2,045(551) 426(82) 194(40) 4.8 10.5
人間科学 409(245) 70(37) 38(17) 5.8 10.8
工学 1,782(250) 365(45) 192(27) 4.9 9.3
数理科学・物理・地球科学 256(60) 43(60) 21(3) 6.0 12.2
化学・生物・薬学 538(205) 58(14) 32(11) 9.3 16.8
農業科学・水産 482(206) 165(58) 88(38) 2.9 5.5
農業農村工学 217(71) 57(21) 34(11) 3.8 6.4
森林・自然環境 269(94) 46(13) 25(8) 5.8 10.8
合計 17,428(6,324) 2,354(647) 1,158(330) 7.4 15.1

院卒者試験

試験の区分 申込者数 第1次試験合格者数 最終合格者数 1次試験倍率(申込者/1次試験合格) 最終合格倍率(申込者/最終合格)
行政 550(165) 328(90) 174(51) 1.7 3.2
人間科学 116(67) 79(40) 43(22) 1.5 2.7
工学 537(77) 302(34) 191(24) 1.8 2.8
数理科学・物理・地球科学 226(34) 79(34) 39(3) 2.9 5.8
化学・生物・薬学 413(132) 109(23) 57(17) 3.8 7.2
農業科学・水産 212(77) 147(54) 78(28) 1.4 2.7
農業農村工学 16(2) 14(2) 12(2) 1.1 1.3
森林・自然環境 111(34) 79(22) 45(11) 1.4 2.5
合計 2,181(588) 1,137(273) 639(158) 1.9 3.4

(参照)

平均点や合格最低点は?

受験をする上では、どの程度の点数を取ればよいのかということも重要です。

どの区分においても平均点は半分程度です。満点を取る必要はなく、一定水準の点数を狙えるように対策を行っていくのがよいでしょう。

大卒程度試験 教養区分以外

合格点

区分 政治・国際 法律 経済 人間科学 工学
第1次試験合格点 223 216 193 200 189
最終合格点 584 533 539 540 540
区分 数理科学・物理・地球科学 化学・生物・薬学 農業科学・水産 農業農村工学

森林・自然環境

第1次試験合格点 203 222 183 184 204
最終合格点 580 576 525 460 583

平均点等

<第1次試験>

・基礎能力試験

満点 40
基準点 12
平均点 16.563

・専門試験(多岐選択式)

区分 政治・国際 法律 経済 人間科学 工学
満点 40 40 40 40 40
基準点 12 12 12 12 12
平均点 13.807 15.137 15.947 17.627 14.337
区分 数理科学・物理・地球科学 化学・生物・薬学 農業科学・水産 農業農村工学 森林・自然環境
満点 40 40 40 40 40
基準点 12 12 12 12 12
平均点 13.567 18.039 22.133 17.948 19.203

<第2次試験>

・専門試験(記述式)

区分 政治・国際 法律 経済 人間科学 工学
満点 60 60 60 40 240
基準点 18 18 18 14 84
平均点 31.067 30.849 30.997 21.333 125.979
区分 数理科学・物理・地球科学 化学・生物・薬学 農業科学・水産 農業農村工学 森林・自然環境
満点 40 40 40 40 40
基準点 14 14 14 14 14
平均点 16.732 19.804 20.235 20.349 21.143

・政策論文試験

満点 10
基準点 4
平均点 5.945

・人物試験

総合判定段階 A B C D E
標準点 168 134 96 62

大卒程度試験 教養区分

合格点

第1次試験合格点 115
最終合格点 544

平均点等

・基礎能力試験

  基礎能力I 基礎能力II
満点 24 30
基準点 8 9
平均点 10.904 13.480

・総合論文試験

満点 20
基準点 4(I部・II部ともに)
平均点 11.913

・企画提案試験

満点 12
基準点 4
平均点 5.726

・政策課題討議試験

総合判定段階 A B C D E
標準点 118 92 66 39

・人物試験

総合判定段階 A B C D E
標準点 172 136 100 65

院卒者試験 (法務区分以外)

合格点

区分 行政 人間科学 工学 数理科学・物理・地球科学
第1次試験合格点 120 99 122 174
最終合格点 491 482 404 550
区分 化学・生物・薬学 農業科学・水産 農業農村工学 森林・自然環境
第1次試験合格点 185 117 112 91
最終合格点 548 480 411 442

平均点等

<第1次試験>

・基礎能力試験

満点 30
基準点 9
平均点 13.217

・専門試験(多岐選択式)

区分 行政 人間科学 工学 数理科学・物理・地球科学
満点 40 40 40 40
基準点 12 12 12 12
平均点 18.672 20.088 16.596 16.306

 

区分 化学・生物・薬学 農業科学・水産 農業農村工学 森林・自然環境
満点 40 40 40 40
基準点 12 12 12 12
平均点 20.089 23.612 18.643 21.506

<第2次試験>

・専門試験(記述式)

区分 行政 人間科学 工学 数理科学・物理・地球科学
満点 60 40 240 40
基準点 18 14 84 14
平均点 33.906 19.871 118.327 20.921
区分 化学・生物・薬学 農業科学・水産 農業農村工学 森林・自然環境
満点 40 40 40 40
基準点 14 14 14 14
平均点 20.524 19.628 19.571 19.515

・政策課題討議試験

総合判定段階 A B C D E
標準点 117 92 64 31

・人物試験

総合判定段階 A B C D E
標準点 170 132 95 61

院卒者試験 法務区分

合格点

第1次試験合格点 74
最終合格点 378

平均点等

<第1次試験>

・基礎能力試験

満点 30
基準点 9
平均点 14.667

<第2次試験>

・政策課題討議試験

総合判定段階 A B C D E
標準点 228 185 142 100

・人物試験

総合判定段階 A B C D E
標準点 342 278 214 150

(参照)

勉強はどのくらい必要?独学は可能?

国家公務員総合職試験の勉強時間は、一般的に1000~1500時間と言われています。

およそ1日3~4時間の勉強を1年間続けるイメージです。

しかし、実際には受験する試験区分や大学での専攻分野などによって左右されるため、あくまで参考程度といえます。

難関大学からの受験者が多いことを考えると、国家公務員総合職試験はやはり超難関の試験と言えるでしょう。

国家総合職試験の範囲は膨大で効率的な対策が必要になります。受験者の多くは、効率よく勉強を進めるため予備校に通っています。

ただ、予備校に通うのにも、それなりのお金がかかってしまいます。試験勉強を始めるにあたって、予備校に通うべきか独学で勉強すべきか迷ってしまう人もいるかと思います。

独学で総合職試験に合格することは可能なのでしょうか。結論から言えば、可能です。

予備校には通わず、参考書などを活用して独学で合格を勝ち取る受験者が一定数います。

実際に、「国家総合職 独学」で検索すると、独学で勉強し合格した方の記事が多く出てくるかと思います。

独学のメリットとしては、自分で参考書を取捨選択すれば予備校に通うよりも、費用を大幅に削減できることなどが挙げられます。

また、自分にとって不必要な授業(大学で学んでいた内容など)に時間を割く必要がないため、必要な科目に集中的に時間を充てることも可能です。

一方でデメリットもあります。独学で合格している方の多くは、自分で試験日までのスケジューリングを行っています。

裏を返せばスケジューリングが苦手な方には、不向きな勉強方法と考えられます。

予備校では、あらかじめ科目別に授業日程が組まれており、試験日までに余裕をもって勉強内容が終了するようになっています。

また、独学には、モチベーションを維持しづらいというデメリットもあります。

予備校では、一緒に授業を受ける友人がいますが、独学は基本的に一人で勉強することになります。

一緒に勉強をする友人がいたほうが、モチベーションを維持しやすいと考えられます。

それぞれの勉強方法のメリット・デメリットを踏まえて、学習することが望ましいでしょう。

最低限知っておくべき国家公務員総合職2次試験対策

国家公務員総合職の年収、初任給は?

2019年度の総合職の初任給は、院卒者は253,800円、大卒程度は222,240円となっています。

国家公務員総合職は難易度は非常に高いですが、給与は一般企業の中で高いコンサルティングファームや外資系金融機関、IT企業などと比べると見劣りします。

総合職の給与は法令によって定められており、基本給と諸手当を含んだ毎月の給与に加えて、夏と冬に賞与が支給されます。

一般職と比べて昇進のスピードが早く年齢とともに役職が上がるにつれて、高い報酬を受け取ることができます。

国家公務員全体の月例給は以下のようになっています(平成29年4月1日現在)。

  • 平均年齢43.6歳
  • 俸給 330,531円
  • 地域手当・広域移動手当 42,230円
  • 俸給の特別調整額(管理職手当) 12,360円
  • 扶養手当 10,806円
  • 住居手当 5,748円
  • 単身赴任手当等 9,044円
  • 合計 410,719円

また、ボーナスは

  • 年間4.4ヶ月分が年間2回に分けて(6月、12月)支給される
  • 期末手当(2.6ヶ月分)と勤勉手当(1.8ヶ月分)に分かれており、勤勉手当は人事評価の結果に基づき支給

とされています。

人事院は、https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/pdf/h30_kyuyo.pdfのページにて、役職と年齢ごとのモデル給与例を掲載しています。

国家公務員総合職は、いわゆる一流大学出身者が多く、そういった大学の出身者は民間企業に就職する場合、いわゆる大企業や外資系企業などに就職することが多いです。

そういった企業に比べると、国家公務員総合職の給与は高いとは言えないでしょう。

単純に給与や年収ではなく、国家・中央省庁での企画・政策に携わりたいという意欲がないと試験へのモチベーションや、就職後のモチベーションも継続しにくいかもしれません。

(参照)
http://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/dai_gaiyou.pdf
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/pdf/h30_kyuyo.pdf

まとめ

この記事では国家公務員総合職の試験(試験概要・難易度・倍率・合格点・給与)などについてまとめました。

国家公務員総合職は、中央省庁で政策の企画・立案を行う、いわゆるキャリア官僚と呼ばれる国家公務員

超難関試験で、一般に勉強時間は1,000~1,500時間必要と言われる

試験に受かったからといって採用ではない

国家公務員総合職の給与は、民間大手・外資系企業などと比較すると見劣りする

難易度が高く、給与等の条件も優れているわけではありませんが、国家の中枢で政策に携わることが出来るダイナミックでやりがいの職業・仕事といえるでしょう。

国家公務員一般職とは?試験の難易度、倍率、勉強時間のまとめ

国家公務員一般職試験対策!勉強スケジュールやおすすめの勉強方法など

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